ワキガ多汗症研究所……ワキガ・体臭・多汗 心と体の研究室

様々なワキガ理論

 


 ワキガの発生源は、腋窩や陰部など、主にアポクリン腺の存在部位であることは知ることができました。では、ワキガのあの特有のにおいは、はたして、どのようにしておこるのでしょうか。

 ここ何十年にわたって、数多くの学者が研究を重ね、いろいろな説を発表してきました。しかし、まだ確定的な結論には至っていません。

 

●アボクリン腺の量できまるという説

 ワキガの人もワキガでない人も、アポクリン腺からの分泌物に、質的な差はないが、アポクリン腺の分泌量が増加した症状がワキガであるという説です。

 アポクリン腺から出る汗のなかには、各種の脂肪酸が含まれており、それがにおうと考えたわけです。

 同じ説を唱えながら、放臭物をアンそニア、糖タンパク、アミノ酸などに求めている人もいます。

 たしかに、体臭の強い患者さんのアボクリン腺はそうでない患者さんの何十倍もあります。またアポクリン腺も大きいのです。

 

●アポクリン腺の質できまるという説

 アポクリン汗には、鉄反応を示す物質が存在していることは知られていますが、この鉄反応に脂質が作用してにおいを出すのでばないかという説もあります。

 この場合、アポクリン汗に鉄反応物質がどれだけ含まれているかが、ワキガになるか否かを決定すると考えられています。

 鉄反応物質の代わりに、脂肪酸の炭素数の違いによる、と主張する学者もいます。

 

●皮脂腺の分泌物できまるという説

 ワキの下の分泌物は、アポクリン腺からのものもさることながら、皮脂腺からの分泌物も多く、ワキガの人は、皮脂腺の活動が一段と活発なことは、すでに知られていることです。

 そこで、皮脂腺からの分泌物が増大すると、皮膚表面のアルカリ度が増し、そのため、細菌が繁殖しやすくなり、悪臭を発するようになる、という説です。

 

●細菌がにおいの原因という説

 一九五三年に、シェリーが発表した学説で、現在、多くの学者・研究者が基盤としているものです。

 アポクリン腺から分泌される汗は、分泌直後の新鮮な状態では、無菌であり、しかも無臭です。それに細菌が作用すると、ほぼ二時間くらいのうちに悪臭を発するようになります。そこから喝えられた説です。

 その後、多くの学者が実験を重ね、ある程度、真理をついていることが裏付けられています。この説が発表されるまでは、アポクリン汗そのものがにおうのか、それとも分泌された以降におうのかが間題でしたが、その意味では画期的な説といえます。

 現在、市販されているワキガ治療用のスプレー液や塗布薬などは、この説にのっとって、減菌効果のある抗生物質を含んだものです。

 

●アポクリン汗に細菌と皮脂腺が作用してにおうという説

 シェリーは、アポクリン汗が体外に排泄され、細菌の感染をうけて分解し、揮発性の脂肪酸、アンモニア、水酸化物が発生することによってにおうといっていますが、その時採取したアポクリン汗は純粋なものだったのでしょうか。

 毛穴、アポクリン腺、皮脂腺が三位一体となっている構造からみても、採取した汗には、皮脂腺の分泌物も混入していたはずです。しだがって、正確にいえば、皮脂腺の分泌物とアポクリン汗の混合物に細菌が作用して、初めてにおいが発生するという説です。

 この説をさらに発展させて、エクリン腺からの汗と混ざることによって、より細菌が繁殖しやすくなり、より広範囲ににおいが拡 散するという説が出てきました。

 現在、一般的に信頼されている学説は、この説で、アポクリン汗+エクリン汗+皮脂腺+細菌という図式です。

 

●私の推論

 こうみてくると、肢窩の有毛部の皮膚表面、および皮下の組織など、そこに存在するすべてが、ワキガの発生に関与しているといえるようです。

 ではいったい、そのなかの何が一番大きな原因なのかとなると、じつははっきりしていません。

 ワキガの手術をしていると、体臭の強い人は、腋窩のアポクリン腺量が多く、皮脂腺も発達していて、毛も多いことに気づきます。そしてさらに、私の体験では、とくに強いワキガ体質の人のアポクリン腺層は、脂肪層と明確な区別がなく、脂肪と混在していて、ややネバネバしだ感じがします。直視的にも、他の多くのワキガ患者と一見して異なっているケースが多くみられます。そのような場合には、アポクリン汗の性質も異なるのではないかと思われるほどです。そして時には、摘出すると同時に(まだ細菌感染する以前に)においを発するアポクリン腺もあります。

 私は、本当のワキガの原因は、腋窩の組織を実験的に分析しているだけでは、結論が出ないのではないかと思います。

 もうひとついわせてもらえば、今まで紹介した諸説で欠けている点は、アポクリン腺の進化論的研究であり、そこを見落としてはいけないような気がします。

 前に述べたように、大古の人間は、アポクリン腺を性的な信号として、たいへん有効に使っていましたが、それは主に、メスの性周期の排卵時に限られていました。いい方をかえれば人間がサルであった当時は、すべての人(?)がワキガであった。少なくとも、ある性周期のほんの短期間だけワキガであったのです。これは、卵巣や甲状腺などの他の腺組織と同様に、ホルモンの作用を受けてにおいが調節されていたことを示しています。

 つまり、性腺のひとつでもあったわけです。したがって、性腺としてのアポクリン腺が、その後退化して、ごく一部の場所と特定の人に多く残存するようになったとしても、その機能的役割としてのアポクリン腺は、現在でも、やはりホルモンの作用を多く受けるとしても、何ら不思議ではないのです。

 さらに、本当のワキガ体質者のにおいの発生場所がただワキの下だけなのかという間題があります。つまり、進化前の状態のように体全体に多少のアポクリン腺が残存はしていないかということです。この点は今後の研究を待ちたいと思います。

 

 


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